September 24, 2007

春。旅人・タエコ(小林聡美)がたどり着いたのは、透明感あふれる日差しと爽やかな風が心地よい海辺の町。渚をゆっくり、ゆっくり歩いた先には、奇妙な懐かしさをたたえた小さな宿が。彼女がそこで出会う人々はみんなどこか風変わりだったり、どこにでもいそうだったり。宿主のユージ(光石研)に、宿にたびたび出没する女・ハルナ(市川実日子)、タエコを追って来る青年・ヨモギ(加瀬亮)、そして宿の人々からそこはかとない信頼を寄せられる謎の常連客・サクラ(もたいまさこ)。ゆるやかな時間を思い思いに過ごす彼らは、なぜか全員、めがねをかけている----。『かもめ食堂』の荻上直子監督とスタッフが贈る、南の海辺を舞台にした物語。
観ました。さらに今回、昨年の「かもめ食堂」に引き続き、京都シネマでの舞台挨拶にまたまた行って参りました。今回も当日朝の9時から販売。かもめの時には寝坊しましたが、今回は気合いを入れて朝5時前から挑戦、そのおかげで列の頭から十数番目に並ぶことが。というのも、かもめの予想以上のヒットにより「めがね」の注目度も比較的高くなり、前回のように(まだサービスする余力もあったのでしょう、特別に追加舞台挨拶をしてくれましたので。)楽にはいかないだろうという事が想像に容易かったからです。まあ、こんなに必死になるのは客観的にみてサブい話ですが、実はヨメさんも同じく「猫が好き」、小林聡美ファンなので、ここまで必死になってもまあイイか、という感じです。案の定、朝の7時を回った時点で信じられないほどの長蛇の列。劇場はCOCON烏丸の3階ですが、先頭の付近のボク達が整理券をもらい、一旦帰ろうと1階へ下りたところビルの入り口付近まで未だ列が続いており、係員から販売終了のアナウンスを受けた人々が散り始めるという状況でした。
かもめの時は立見でしたが、今回は前から4列目辺りに座り、さらに近くで監督・出演者の方々を見ることができました。舞台挨拶は小林聡美さん、もたいまさこさん、市川実日子さん、荻上直子監督。今回も楽しいお話を聞かせてもらいました。みなさん本当にナチュラルで魅力的ですね。また、かもめからスチール撮影をされている写真家の高橋ヨーコさんは京都出身だそうで、今回お母さまも足を運ばれておられました。舞台挨拶でも話題に出ましたが、今回のパンフ(上写真)にも高橋さんのスチールが多く掲載されており、わざとらしい狙いがない、とてもいい感じの写真ばかりでした。
本編は…実は正直、今回はあまり期待してなかったのですが、「かもめ食堂」よりも好きかも知れません。そこには当然繊細な計算があるのだと思いますが、それだけでこの映画は完成されない、つまりコレが荻上監督の才能なのだろうなあ、と今回あらためて感じました。とても「ゆるい」んですが、全ての画の上のオブジェクトの配置や色使いはもとより、セリフ、音楽全ての要素が絶妙の間と感覚で保たれていて、さもすれば動きや色の少ない退屈な映画になってしまいそうなところも、そうさせずに観せ続けてくれます。いや、逆に寝ちゃってもいいよw、位の心地よさと寛大さまであります。監督の才能もそうですが、それを表現できる役者陣、素晴らしいです。
ここ最近はただ単純に思考停止を招くだけの、押しつけがましい狙いまくりの癒しや愛を売りつけるモノやコトが氾濫しまくってますが、それらとは一線を画す本当に心からリラックスできる作品だと思います。マリン・パレスなんて、それらに対するちょっとシニカルな皮肉っぽい表現じゃないのかな?とボクは思ったんですけど。そのあたりもさらっと笑わせてくれるのがイイですね。併せて今回もまた食事がとても美味しそうなのですが、人が「食する」というコトへの監督のこだわりのようなモノも感じられます。それも決して押しつけがましくないんですよね。またタエコの衣装やカバンなど小道具にもしっかり注目しておくと、きっとさらに面白いのでは、と思います。
何度かみればもっともっと、細かい楽しいところが見えてくるのではないかと思いますので、こちらもDVDでたら購入しちゃいそうです。個人的には大貫妙子の主題歌も含め、音楽もとても好きでした。サントラも欲しいですね。
大貫妙子さんによる主題歌「めがね」、劇中のハルナ(市川実日子)とユージ(光石研)が演奏したものをそのまま収録した「ハルナとユージのマンドリン」、劇中に登場する不思議な体操「メルシー体操」等を含む全17曲が収録されています。さらに、寄藤文平氏のイラストによるメルシー体操図解イラスト付きです。


